読み物

夜パンの読み物 | 2023年もよろしくお願いいたします

旧年中は大変お世話になりました
本年もよろしくお願いいたします

文>鈴川桃子(夜のパン屋さん販売員)

変化のない新型コロナウイルスの流行と対応、猛暑、思いがけない事件の数々……2022年は、予想外の出来事を経験した方もおられることでしょう。個人的にも様々な出来事がありましたが、新しい年がやってきました。

皆さま、お元気でお過ごしでしょうか。
夜のパン屋さんは明日、1月10日から、はりきって営業を再開いたします。

私は2021年から夜のパン屋さんのメンバーに加わり、現在は主に2021年12月にオープンした田町店にて販売員をしています。
夜のパン屋さんは、パンを焼かないパン屋さん。各店舗から余ってしまいそうなパンを預かり、夜だけ販売するという取り組みです。
しかし、その目的はフードロス対策のみではありません。「仕事作り」「居場所作り」の役割も担っています。

私は、一時はフルタイム勤務をしていたのですが、体調を崩してしまい退職。その後は、仕事を長続きさせることが難しい状況でした。ショートタイムでの勤務に変更して続けているけれど、もうちょっとなら頑張れそう。でもたいていの職場は勤務時間の融通が利きにくい――そんなころに夜のパン屋さんのことを知りました。
私にとって、柔軟に時間を組める夜のパン屋さんは得難い場となっています。

和やかで包容力あふれる枝元なほみさんを中心とした“夜パン”の仲間たち。それぞれ事情を抱えた人同士、お互いにフォローしつつ、各店舗のパンの魅力をいかに伝えるか、工夫を重ねながら和気藹々と働いています。
夜のパン屋さんにいらっしゃるお客さまたちとの交流も、私たちの大きな楽しみです。「この前買ったここのパンが美味しかった!」という言葉のひとつひとつが励みになります。

皆さまもまた、様々な状況に置かれていることと思います。
新しい年を迎え、心機一転、と言いたいところですが、まだまだ世の中は油断ならない状況です。
それでも私たちの暮らしは続いていきます。

だれもが美味しく食べられるように。
みんながちょうどよく働けるように。
街角のパン屋さんから、緩やかに人の輪を広げていきたい。
それがいずれは社会のあり方を少しずつ変えていく足掛かりとなることを願って。

『夜だけ開店、夜のパン屋さん。さあさあ誰でも寄っといで!』

3年目の夜のパン屋さん、引き続き温かいご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。